近年、カロリーが低いと健康志向の方に注目が集まっているラム肉ですが、日本ではラム肉を99.9%輸入に頼っていることを知っていましたか?
現在、日本で食べられるラム肉の60%はオーストラリア産です。次に多いのがニュージーランド産、そのほかアメリカ産・フランス産など各国から輸入しています。
この記事では、日本で食べられるラム肉の産地について紹介します。
国産
国産ラム肉は、世界的に見てラム肉の代表的な産地とは言えないのが現状です。
国内で飼育されている羊は1700万頭ほどで、ラム肉流通量は全体のわずか1%と非常に貴重です。
国内で飼育されている羊は「羊のショーン」のモデルにもなった黒い顔が特徴の「サフォーク種」と呼ばれる羊で、全体の飼育頭数の80%を占めています。
とくに国内でも代表的な産地として知られる北海道士別で飼育される士別サフォークラムは、ラム肉の中でも、肉質がよく貴重ということもあり、高値で取引きされています。
しかし、産地としてみると近年、飼育頭数も減少傾向にあるため年間出荷量もかなり少なく、なかなか手に入りません。また、士別サフォークラムはラム肉特有の臭みもほとんどなく、脂身に甘さがあるのが特徴です。
オーストラリア
日本のラム肉輸入量60%を支えるオーストラリアは世界的にみてもラム肉の代表的な産地といえるでしょう。
オーストラリアは6700万頭ほどの羊を飼育しており、全世界でも中国に次ぐ第2位の羊飼養頭数です。
同時に、生涯記録を電子タグで保存や、オージー・ビーフと同水準のトレーサビリティ・システムを導入しているなど、世界で最も品質の高いラム肉の産地で知られています。
オーストラリアではおもに生後6か月~8カ月の羊を出荷しており、ニュージーランド産などより個体が大きいため、ロース芯が太いのが特徴です。
オーストラリアでもっとも多い品種は「メリノ種」です。
メリノ種は高級羊毛としても有名で、オーストラリアは世界中の40%の羊毛を生産する産地でもあります。
オーストラリア産は、ほどよい柔らかさがあり、うまみが特徴のラム肉です。
ニュージーランド
大自然がひろがるニュージーランドもラム肉の産地として有名です。
ニュージーランドでは3110万頭ほどの羊が飼育されており、ニュージーランドではおもに生後4か月~6か月の羊を出荷しています。そのためラム肉の各部位が小さめなのも特徴です。ニュージーランドで飼育されている羊はおよそ30種類といわれており、ニュージーランドの飼育頭数の45%は「ロムニー種」です。
代表的な産地としてはロムニーの沼沢地方があげられ、カーペットに使用されている羊毛原料の産地としても有名で知られています。
ニュージーランド産のラム肉は、はじめてでも抵抗感なく食べられると評判で、非常にやわらかくクセも少なめです。ジンギスカンのタレにもよく合い、多くの人においしく食べられています。
フランス
フランスは、世界で最も有名な子羊「アニョー・ド・プレサレ」の産地として有名です。
アニョード・ド・プレサレの産地は、フランス・ブルターニュ地方とノルマンディー地方の境界付近にあるロズ=シュル=クエノンの低湿地帯です。
この低湿地帯は塩の満ち引きの差が非常に大きく、好塩性の植物しか育たない地域で、この植物を羊が食べると、肉中の食塩相当量・必須ミネラルのヨウ素含有量が増えていきます。
ラム肉に含まれる塩味のうまみがアニョー・ド・プレサレの秘密で、ラム肉を焼いた時の肉汁でそのまま食べるのがおすすめです。また、肉質がやわらかく風味があるのも特徴です。
一時はアニョー・ド・プレサレの偽物がでるなど問題があり、現在では原産地、生産、加工についてのルール=PDOが設けられています。
アメリカ
アメリカは、穀物肥育で育てるラム肉の産地として有名です。
基本的に羊は草を食べてそのまま出荷されますが、アメリカでは出荷の2カ月ほど前から穀物も与えて育てます。
穀物を与えることで、肉質がやわらかく、牧草のみで育った羊より臭みも少なくなるのが特徴で、赤身や脂肪が上質になるそうです。また、穀物肥育で育っている上、生後6か月~8か月の子羊をラム肉として出荷しているため、各部位が大きいのも特徴です。
代表的な産地としてはテキサス・カリフォルニアが挙げられ、テキサスでは4650万頭ほどの羊を飼育しています。
ラム肉の産地として、アメリカでは独自の品質基準を設けて格付けも行っています。
ラム肉の産地:まとめ
代表的なラム肉の産地をまとめてみました。
ラム肉といっても産地ごとに、さまざまな特徴をもっています。
日本ではラム肉=北海道というイメージを持つ人も多く、まだまだ馴染みがないという人も多いでしょう。
ですが、世界的に見ればラム肉は多くの宗教でも禁止されていないため、非常にポピュラーな食材なのです。
ぜひ、気になる産地を見つけて、ラム肉を食べてみてくださいね。