ラムランプは、ラム(子羊)の腰〜お尻にかけて取れる赤身部位で、旨味が濃く使い勝手が良いのが魅力です。ロースやサーロインに隣接する位置にあり、適度な脂と引き締まった肉質のバランスで、ステーキやロースト、薄切りでのソテーに向きます。家庭で扱いやすく、少ない下処理で旨味を引き出せる点が人気の理由です。
ラムランプの特徴と食感

ランプは赤身中心ながら表面に薄く脂が残るため、「赤身の濃い旨味」と「柔らかさ」を両立します。ただし筋や繊維がやや強めなので、火入れが浅すぎると硬さを感じ、入れすぎるとパサつきやすいという性質があります。調理法によって食感が大きく変わるため、目的(短時間でジューシー/時間をかけて均一に柔らかく)に合わせた火入れが重要です。
選び方のポイント
良いラムランプは鮮やかな赤色で、脂は白〜淡クリーム色。ドリップ(パック内の汁)が多すぎないものを選ぶと鮮度の目安になります。産地はニュージーランドやオーストラリア産が流通量が多く比較的安定した風味ですが、国産のラムは流通が少なく個性が強いことがあります。購入時はトレーサビリティやカットの説明を確認すると安心です。
火入れの基本(温度と時間の目安)
安全面のガイドラインでは、ステーキ・ロースト類の最低内部温度は約63℃(145°F)で、調理後3分の休ませを推奨する公的基準があります。一方、料理の世界ではミディアムレア(中心55〜60℃)前後で仕上げて休ませる方法も広く使われ、好みに応じて温度を調整します。家庭では温度計を使って中心温度を確認すると失敗が減ります。
具体的な調理法(目的別の手順)
- フライパン/ステーキ方式(短時間でジューシー)
塊のラムランプは常温に戻し、塩を振って表面をしっかり焼き色を付けます。強火で全周を焼いた後、オーブン(180℃前後)で短時間ローストして中心温度を調整。休ませてから薄切りにするのが定番です。 - 低温調理(sous-vide)+仕上げ(均一な柔らかさ)
低温調理は56〜60℃で2〜4時間程度が目安で、中心まで均一に火が入りやすく肉質が柔らかく仕上がります。調理後は表面の水分を拭き取り、強火のフライパンやグリルで焼き色をつけて香ばしさを加えます。家庭でも扱いやすく再現性が高い方法です。
味付け・マリネの工夫
ラム特有の香りが気になる場合は、ヨーグルトやワインベースのマリネで下味を付けると和らぎます。ローズマリー、タイム、ニンニクなどのハーブはラムと相性が良く、仕上げにバターやハーブオイルを絡めると風味が一段と引き立ちます。塩は焼く直前に振ると肉汁の流出を抑えられます。
購入後の保存と解凍
冷蔵保存は2〜3日を目安にし、長期保存は真空包装で冷凍するのが理想です。解凍は冷蔵庫内でゆっくり行うのが安全で品質も保ちやすく、急速な流水解凍や常温放置は細菌増殖リスクや品質低下の原因となります。家庭での「氷水解凍」は短時間で解凍でき比較的安全な方法として推奨されるケースもありますが、温度管理に注意してください。
栄養面のメリット
ラム肉は良質なたんぱく質に加え、鉄(ヘム鉄)やビタミンB群、亜鉛などを含むため、栄養価が高い食材です。特に赤身寄りのランプは脂質が抑えられ、たんぱく質中心に取り入れやすい部位です。ダイエットや筋肉づくりの食事にも適した選択肢となります。
家庭で失敗しないためのチェックリスト(要点まとめ)
- 塊肉は常温に戻してから調理する。
- 表面にしっかり焼き色を付けて旨味を閉じ込める。
- 中心温度は温度計で確認(目安:55〜63℃)。
- 調理後は必ず休ませて肉汁を落ち着かせる。
- 保存は真空冷凍がベスト、解凍は冷蔵庫でゆっくり。
短時間レシピ(ワンポイント)
500g前後のラムランプ塊:塩小さじ1/2を全体に振り、強火で全周に焼き色を付ける→180℃のオーブンで8〜12分(好みの中心温度に応じて調整)→取り出してアルミで10分休ませ、薄切りにして好みのソースで提供。温度計があれば中心55〜60℃でミディアム寄りの仕上がりです。
参考(本文で参照した主な資料)
- American Lamb Cuts Guide(部位図解・カット基準)
- 羊肉の部位解説(日本語).
- Safe Minimum Internal Temperature Chart(FSIS / FoodSafety.gov). USDA Food Safety and Inspection ServiceFoodSafety.gov
- 低温調理の実践ガイド(ラム肉の低温調理まとめ)
- ラム肉の栄養解説(各種栄養データ・解説記事).